歯を失った場合の治療の選択肢は、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つです。現在入れ歯やブリッジをしている方はインプラント治療に「値段が高い」「手術をするから不安がある」というイメージをお持ちかもしれませんが、それぞれの治療には異なったメリット・デメリットがあります。
インプラントに興味をお持ちの方、インプラントについてもっと詳しく知りたいという方は、是非こちらをお読みいただき、今後治療を受ける上での参考にしてみてください。
入れ歯・ブリッジ・インプラント治療の比較
3つの治療には見た目や機能性、治療費などあらゆる項目で違いがあります。以下の表を見て、自分にはどの治療が最も合っているのかを考え直すきっかけにもなれば幸いです。
入れ歯 | ブリッジ | インプラント | |
---|---|---|---|
審美性 | バネが見えてしまう | 見た目の違和感は少なめ | 天然歯とほぼ変わらない |
口を開けると落ちやすい | セラミックはより
審美性が高い |
自然で綺麗に仕上がる | |
噛む力 | 総入れ歯
10~20% |
60%程度 | 天然歯とほぼ同じ |
部分入れ歯
30~40% |
|||
※天然歯と比べた場合 | ※ブリッジをかける歯の状態による | ||
噛み心地 | 噛む力が弱く、くっつきやすいものは食べにくい | 支えの歯が問題なければ天然歯と同様に噛める | 天然歯と同様の噛み心地 |
味覚 | 味を感じにくい | 天然歯と同様 | 天然歯と同様 |
治療期間 | 数日~ヶ月ほど | 数週間~数ヶ月ほど | 数ヶ月~10か月ほど |
耐用年数 | 7~8年ほど | 7~8年ほど
※顎の状態によって変動 |
メンテナンスを怠らなければ10年、20年と長持ちする |
治療費 | 保険適用内のため安価 | 保険適用内の場合は安価
※セラミックの場合は 保険適用外 |
保険適用外のため高額 |
入れ歯のメリット・デメリット
保険が適用される入れ歯治療は比較的安価です。治療期間も短く、平均的な期間は2~3ヶ月、歯科医院の体制や患者様のお口の状態次第では当日中に入れ歯を完成させることも可能です。外科手術が一切なくお身体への負担が少ない治療ですが、入れ歯は食べ物の温かさや味が伝わりづらいため食事を十分に楽しむことができません。
特に総入れ歯の場合は歯茎のみで入れ歯を支えなければなりませんので、患者様にきちんと合ったものでないとすぐにずれたり外れたりしてしまいます。また、咀嚼による脳への刺激が遮断されるため顎の骨が吸収されていき、残存歯の喪失リスクを高めることは入れ歯の最大の欠点です。
ブリッジのメリット・デメリット
ブリッジとは欠損部の両隣の歯を削り、そこを支えとして人工歯をかぶせる治療法です。欠損歯が1、2本の場合に適用できる部分的な治療ですので、保険適用内であれば総入れ歯よりも治療費を抑えることができます。
審美性を重視してセラミックを選択した場合はかなりの高額となりますが、自分自身の歯に近い見た目と機能性の両方が手に入ります。ただし、何の問題もない健康な歯を削る必要があり、さらに欠損部を支える土台として負荷をかけることになるため歯の寿命は縮まります。
ブリッジの持続性は7~8年程度と言われていますが、ブリッジをかけた歯は口腔ケアがしにくく歯周病にもかかりやすいため、再治療となってしまうことがほとんどです。
インプラントのメリット・デメリット
インプラント治療とは欠損部の顎の骨にインプラントを埋め込み、固定させて使用する外科的療法です。審美性の高さはもちろん、天然歯と同様の動作ができるため咀嚼効率の改善が見込めます。日常生活における快適さは3つの治療の中で最も優れており、定期的なメンテナンスを行っていれば何十年と持ちますので、長く健康的な生活を送ることができます。他の治療のように周囲の歯を傷つけることがなく、装着時の違和感もほとんどありません。
上記のように魅力の多いインプラント治療ですが、一般的なイメージの通り、インプラント治療は保険適用外ですので治療費は非常に高額です。インプラント1本あたりの相場は30~40万、治療期間も長ければ1年近くかかるため、決断は慎重に行う必要があります。また、インプラント治療には不適応症があり、別の治療を行ってからインプラント治療を始めるケースやインプラント治療そのものを止めた方が良いケースがあります。安心して治療に臨めるよう、信頼できる歯科医師にしっかりと診てもらいましょう。
「総入れ歯では上手く物を噛めない」「すぐに外れてしまって使い勝手が悪い」などの理由から、総入れ歯をやめてインプラント治療を検討し始める方は多くいらっしゃいます。そんな方におすすめなのが、インプラントを使用した総入れ歯です。固定式のタイプと取り外しが可能なタイプがあり、通常のインプラント治療よりも費用が安いというメリットがあります。
通常のインプラント治療は1本の歯に対して1本のインプラントを埋め込みますが、当院では固定式タイプの場合は6~8本、取り外し可能なタイプの場合は2~4本のインプラントを埋入します。治療費は使用するインプラントの本数によって大きく変動しますので、お口や骨の状態次第では本数が若干増えることがありますが、それでも通常のインプラント治療よりも費用を抑えることが可能です。
この治療によって総入れ歯の安定感と咀嚼力が増し、通常のインプラント治療を受けた場合と同様に、本物の歯に近い機能を得ることができます。ただ、総入れ歯を長期間使用していると顎の骨が少しずつ溶けていってしまい、すぐにインプラント治療ができないケースもあります。最近は失った骨を取り戻すための様々な再生療法がありますが、全体的な治療期間が長くなることはご了承いただければと思います。
患者様の年齢や予算、お身体の状態によっては総入れ歯のままの方が良い場合もありますので、患者様のご希望に最大限寄り添いながら、最も効果が得られる治療法を選択して参ります。